できる限り無添加のものを選び、快適な食生活を送っています。
微生物が行う行為によって、発酵といった素晴らしい製法を受け取り続けている和食文化。
”元々の食材にはない美味しさを生み出してくれる”
そんな発酵食品によって食生活を満たし、健康への効果を存分に実感されているがたくさんいらっしゃいますよね。
また、腸活といった言葉の中でも「発酵食品が腸に良い」という事を知り、こちらの記事を見ていただいている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、良いと言われている発酵食品のデメリット、残念ながら ”発酵食品が合わない方” について解説しています。
まさかの逆効果?!発酵食品のデメリット
健やかな毎日を送るため「腸活が良い」「発酵食品が良い」といったことを知り、発酵生活、麹生活を選ばれる方が多いですが、摂りすぎは逆に腸を痛めてしまったり、むくみや高血圧の原因になりやすい塩分過多に。
また、乳製品の発酵食品を摂りすぎてしまうと、糖質(合わせる果物や甘味)や脂質が多くなりがちになる、といったデメリットももちろんありますが、そもそも発酵食品自体が合わない方もいます。
それは遺伝子の型の問題かもしれません。
はたまた、すでに腸の病気が発症している場合もあります。
なぜ一般的に良いと言われている「腸活」で効果を感じられないのか、不調が改善されないのか、まずは自分自身の体の状態を見つめ直すことが大切です。
症状を知って自分に合った健康法を探ろう
食後のお腹の張り、おなら、便秘と下痢・・・
お腹のトラブルとは様々ですが、トラブルを改善するために「腸活」を始める人も多いようです。
ですが残念ながら、一般的に「腸活」に良いとされる食事が、逆効果になってしまう場合があることが最近わかってきています。
過敏性腸症候群
近年、過敏性腸症候群に悩む人は増えており、人口の14%がかかっているとされている病気です。
その症状は、
・腹痛や下痢
・便秘
・便秘と下痢の繰り返し
・ガス
・お腹の張り
・疲労感
などです。
心当たりはありますか?
10代から30代くらいの若い人や、都心に住んでいる人に多く見られるため、ストレスや環境汚染物質などが大きな要因と考えられているそうです。
過敏性腸症候群には男女差があることもわかっていて、一般的に女性は男性に比べて筋力が弱いことから、消化管や腸を支える力が十分ではなく、腸のぜん動運動も弱くなりがちに。
そのため、お腹が張ったり、便秘になったりしやすくなります。
さらに、女性ホルモンが腸管の動きに関係しているため、生理前後にお腹の不調を感じやすいのはその影響なのです。
また、現在人に密かに増えているのが『SIBO』といった腸の病気です。
SIBO
「過敏性腸症候群と考えられてきた患者さんのなんと85%は、よく調べてみるとSIBOだった」ということがあるようで、症状がかなり似ているとのこと。
また、過敏性腸症候群の36〜85%はSIBOを合併しているといったデータが発表されているのだそう。
高齢になるほどSIBOになるリスクは高まり、健康な高齢者の35%の人がSIBOにかかっているというデータもあるのだそうです。
お腹のトラブル「SIBO」
”腸の中に生息する腸内細菌が、健康や病気に深く関わっている” ということは、「腸活」に関心がある方だとご存知かと思います。
SIBOは、大腸にあるべきバクテリアが小腸の中に入り込み小腸に停滞してしまい、本来の居場所であるべき大腸に移動しない時に起こります。
この場合、バクテリアは必ずしも全てが「悪玉菌」というわけではありません。「善玉菌」とされるバクテリアであっても、過剰になったり、不適切な場所で増えれば、非常に好ましくない状態になるのです。
あまりにも多くのバクテリアが繁殖する場合や、不適切な種類のバクテリアが不適切な場所で繁殖する場合、またその両方の場合をSIBOと呼びます。
ここまで読むとわかる通り、”小腸の中で細菌が増えすぎてしまっている人” = ”SIBOの人” にとっては、生きたまま腸に届くため良いと言われている、善玉菌が入ったヨーグルトなどの発酵食品では、かえって小腸の中で細菌が増えすぎてしまい、悪化させてしまうことになります。
過敏性腸症候群と症状がかなり似ているとお伝えしましたが、ここで改めてSIBOの症状を以下にまとめておきますね。
・腹痛
・慢性的な下痢や便秘
・便秘と下痢の繰り返し
・お腹がゴロゴロする(腹鳴)
・食事をした後にお腹がパンパンに張る
・ゲップ
・胸焼け
・食べ物が食道に戻る
これらが典型的なSIBOの症状です。
その原因とは?
そもそも、なぜSIBOになってしまうのか。
SIBOを引き起こす10の原因を解説します。
1. 小腸の消化管運動の障害
簡単にいうと、小腸の運動力の低下です。
胃から運ばれた食べ物を大腸に送るといった小腸のぜん動運動によって、小腸の壁に微生物が取り付くのを防いでいます。
ですが、この正常なお掃除運動がなくなってしまうと、食べの物の残りかすは小腸に停滞してしまいます。
この食べの物の残りかすを養分にして小腸で腸内細菌が繁殖してしまうのです。
2. 大きなストレスや間食などの生活習慣が、小腸の動きを悪くする
ストレスフルな生活は、人間の交感神経を興奮させ、交感神経が優位になると、小腸のぜん動運動が低下します。
3. 抗生物質の乱用
抗生物質は、細菌の壁を壊すことで細菌を死滅させる薬なので、適切に使用すれば大きな効果を発揮し命を救う有用な薬です。
抗生物質は細菌には効きますが、ウィルスには効きませんが、日本の現状では、風邪(ウィルス感染)にも抗生物質が処方されます。
抗生物質が乱用されいる現状で、抗生物質をまめにとっていると、腸内細菌の内、「善玉菌」まで殺してしまうため、腸内フローラのバランスを崩すことにつながるというのです。
善玉菌の勢力が乏しくなると、悪玉菌が繁殖しやすくなり、SIBOへつながってしまうそうです。
4. 胃薬による胃酸過少
胃酸を抑える薬を使ったために胃酸が不足し、小腸内の細菌が増えるといったケースがあるようです。
胃酸を抑える薬を飲んでも改善しないばかりか、ゲップが多くなったり、お腹が張ったり、吐き気がするような場合、SIBOの可能性があると言われています。
5. 免疫力の低下
様々なストレスや不適切な食事内容によって免疫力が落ちるとSIBOを発症しやすいとのことです。
6. 炭水化物の消化不良、食べ過ぎ
炭水化物の中でも、小腸での吸収が悪い糖質があります。これを『FODMAP(フォドマップ)』と呼びます。
もともと小腸で吸収が悪いものではありますが、人によってはさらに吸収が悪い人がいます。そういった人が、FODMAPを食べすぎると、吸収されない糖質が小腸で浮遊しており、その糖質をエサにバクテリアが小腸内で増殖します。
なので、炭水化物の吸収不良がある人はSIBOになりやすいのです。
7. 重金属が体に蓄積
鉛、アルミニウム、カドミウム、有機水銀、ヒ素などの重金属がなんらかの原因により体に蓄積している人は、腸管の働きが悪くなりSIBOへつながってしまうそうです。
8. 急性胃腸炎などのあとに発生する
食中毒や急性胃腸炎など、感染症をきっかけとしてSIBOが発症することがよく知られています。
9. 大腸のバウヒン弁に障害がある
胃から運ばれた食べ物が小腸へ。そして小腸のぜん動運動によって大腸に送られます。
大腸の始まり部分にはバウヒン弁という逆流防止弁がついていて、大腸から小腸にバクテリアが逆流しないようにする働きをしています。
ここが、様々なお腹の手術の影響や、潰瘍性大腸炎やクローン病、繰り返す腸閉塞でバウヒン弁が上手く閉じない状態になっている人など、なんらかの影響で大腸から小腸にバクテリアが逆流しやすい人は、SIBOになりやすいと考えられているとのことです。
10. 胆のう除去など機能的な問題
もともと肝臓で作られる旦汁はいったん胆のうの中に溜まっています。そして胆のう内で旦汁は十分に濃縮されることではじめて抗菌作用を持つようになります。
ですが、胆のうの切除した人は旦汁は十分に濃縮されずに小腸に分泌されることになります。すると旦汁は、バクテリアを殺菌する能力が格段に落ちてしまうのです。
胆のうを取った人はこのように機能が低下してしまうので、SIBOには十分に気をつける必要があります。
発酵食品のデメリット〜まとめ〜
腸活ブームによって、「発酵食品を食べよう」「腸内細菌を増やそう」「ヨーグルトや乳製品を摂ろう」といったメッセージがあふれているのですが、それらの健康法が万人に当てはまるものではない、といったことが、この記事を読んでご理解いただけたでしょうか。
今、お腹の調子が悪くない方でも、「こういった事もある」ということを考慮しながら、ご自身の身体と向き合い、発酵食による「腸活」といった健康法を試行していただければと考え記事にしました。
それは自分自身だけでなく、共に食事をする家族の健康への配慮も十分に観察する必要があります。
もし、お腹の張りや違和感がしばらく続くようなら、食生活をはじめとした「腸活」を見直してみると良いでしょう。
・小腸を強くすれば病気にならない 江田 証